つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト


まちの記憶が聴こえる。

― 矢向小学校 6年生のみなさんへ ―

茨城県・土浦(つちうら)のまちで「音」を集めて未来に残している人たちです。
今日は、その思いと、やってきたことを、みなさんにお話しします。

話し手 ― 宇津木紘一(TSAP代表)/中村浩之(作曲家・Beyond Boundary Music)

⏰ きょうの授業のながれ(30〜40分)

📋これから、こんな順番で話します。

下のボックスをタップすると、すぐにそのページにジャンプします。先生は時間配分の目安に。

  1. 2分思い・願いなぜ音を集めているか
  2. 8分音マップ・クイズ + アーカイブ6つの音を当てる + 本物の音マップで探検
  3. 2分やってきたこと東光寺・コンサートの紹介
  4. 4分サウンドピクニック同じ年の仲間が、もうやっている
  5. 2分他にもいろいろ草木染め・竹のライト作り
  6. 3分お寺のイベント音と光の遊び場
  7. 5分世界の仲間たち⭐ 一番大事な話 ⭐
  8. 2分みなさんと同じです仲間に入ろう
  9. 8分いっしょにやってみよう耳すまし・リズム・ビンゴ

🕐 教室で=みんなで一緒に / 🏠 おうちで=長い動画・音は家でじっくり聴いてね

わたしたちの思い 🕐 教室で 2分

🎐音は、消えてしまう。だから、いま録る。

古い商店街のにぎわい。もう鳴らなくなったお寺の鐘。むかしの市場の声。
写真は残せても、音は録っておかないと、二度と戻りません。

「あの音、もう一回聴きたいな」と思っても、もうどこにもない――。
それがくやしくて、わたしたちは土浦のまちの音を、みんなで集めて、未来へ残すことをはじめました。
霞ヶ浦(かすみがうら)の波の音、お寺の鐘、お祭りの音…。これは土浦というまちの「声」です。

いちばん大事なこと: 上手・下手は関係ありません。「このまちが好き」「この音いいな」という気持ちさえあれば、だれでも仲間です。
音楽家でも、録音のプロでなくても大丈夫。みんなのが、いちばんの機械です。
集めた土浦の音 🕐 教室で 8分

🗺️これ、どんな音だと思う? ― ▶を押してきいてみよう

写真を見て「どんな音かな?」と想像してから、▶ボタンを押してみてください。ぜんぶ、土浦で実際に録った本物の音です。

▶ボタンの前に、3つの「ヒント」から正解を当ててみよう! 押すと答えが出るよ。

お寺の鐘
なんの音?東光寺で録った、ある「響き」。

霞ヶ浦の船
なんの音?霞ヶ浦の上で録った、ゆっくりした音。

霞ヶ浦と赤とんぼ
なんの音?湖のほとりで生まれた、キラキラした音。

自転車で走る
なんの音?「走りながら」録った音。

水車
なんの音?むかしから、まちで働きつづけてきた音。

滝・小川
なんの音?公園で、ずっと鳴りつづける音。

🗺️👂 もっと聴きたい人へ ―
本物の「土浦の音マップ」

クイズで聴いた6つの音は、ほんの一部です。
みんなで集めた音は、地図のうえに公開されています。
地図のピンをタップすると、その場所で録った音が流れます。

収録例: 🌊 霞ヶ浦の波音(ホワイトアイリス号) 🚲 自転車のラチェット音(りんりんロード) 🌾 風になびく葦(霞ヶ浦総合公園)…

▶ 音アーカイブを開く ※おうちのタブレット・スマホでもひらけるよ
やってきたこと 🕐 教室で 2分

🔔お寺で、湖で、みんなで。

東光寺でのコンサート/インスタレーション

東光寺で、集めた音と光のコンサート。

お寺の鐘や読経(おきょう)の響きを録って、その場所の音といっしょに作品にしました。住職さんは「この音は何百年もここで鳴ってきた音だ」と話してくれました。

霞ヶ浦サイクリング録音/竹でライト/草木でストール染め。

自転車で走りながら録音したり、竹を切る「パキッ」、葉っぱを煮る「ぐつぐつ」…作りながら出る音も、ぜんぶ"まちの音"。
音は、色や手ざわり、暮らしとつながっています。

市民みんなで専門知識いらない好きな気持ちだけ
霞ヶ浦の船で、音を録音する子ども
サウンドピクニック・2025.10.12 🕐 教室で 4分

🚲みなさんと、同じ年の仲間たちが、もうやってる!

土浦のまちで、自転車に乗って、船に乗って、湖と川と街の音を集める日。「つちうらサウンドピクニック」には、みなさんと同じ年ぐらいの子どもたちも参加しています。
小学生もちゃんと、本物の探究者です。

サウンドピクニック集合写真・りんりんポート土浦 🚲 りんりんポート土浦・スタート地点 アイスを食べてわらう子どもたち アイス休けい・大わらい 船の上、スマホで湖をろくおん 船の上・スマホで録音中 水辺の石にかがむ子ども 水の音に、しゃがんで耳をすます 船の上から霞ヶ浦をながめる 霞ヶ浦の船から 草木で染めた布をひろげる子ども 草木染め・できた!
みなさんへ: もしこの写真の子に会ったら、「わたしたちも、ちがうまちで、同じことをしているよ」と言える日が、もう近いです。
— 横浜と土浦、まちはちがっても、同じ仲間です。

🎬 自転車の音から、リズムができた!

サウンドピクニックで集めた自転車の音(鍵の音・車輪の音・走る音)を使って、リズムにアレンジしてみました。
録った音は、楽器みたいに使えるのです。

🕐 教室で最初の1〜2分だけ / 🏠 おうちで全4分20秒、再生バーをドラッグして好きな場所から

他にもいろいろやってます 🕐 教室で 2分

🌿音と、手と、まちとつながる。

サウンドピクニックの他にも、草木染め竹のライト作りのワークショップを開いてきました。「染める音」「竹を切る音」「コトコト煮る音」――作るときに出る音も、ぜんぶ「まちの音」です。

布を染める2人 布を染める 夕方、染めた布を干す 夕方、干す 子どもが竹を扱う 竹のライト作り ふたりで竹を切る いっしょに切る ワークショップの受付・しおりを書く 体験のしおり

🎧 染め物・竹ライトの音が、音楽になった!

草木染めや竹ライト作りで「録音した音」を組み合わせて作った、1分間の音楽です。
葉っぱを煮る「ぐつぐつ」、竹を切る「パキッ」、染めた布のかさかさ ― そういう音が混ざりあって聴こえます。
つくりながら出る音も、ぜんぶ音楽の材料になります。

草木で染めた布をひろげる子ども
tokoji_demo · 染め物と竹ライトの音 (1分) もとの27分作品の 11:28〜12:28 のところ
お寺で開いた・音と光のイベント 🕐 教室で 3分

🏮お寺の中が、まるで音と光の遊び場になりました。

2026年2月、土浦の東光寺を半日まるごとお借りして、集めたまちの音と光の作品を発表しました。
住職さんもいっしょに、お寺の鐘や読経の響きを録音。子どもも大人も、波形を見ながらヘッドフォンで聴いたり、布の天井を見上げたり。お寺の中が、その日だけの音楽空間に変わりました。

お寺で、子どもがスマホで音の波形を見ながら聴いている 👂 子どもが、音の波を見ながら聴いてる 布のインスタレーション設営 紙と布で、空間を作る 竹のライト 竹ライトに、火がともる 住職といっしょに記念写真 住職といっしょに お寺でひらいた公演を聴くお客さんと子ども みんなで、耳をすます 光るスイッチのある鍵盤で演奏 キーボードで音を出す
住職さんが言ってくれたこと:この音は、何百年もここで鳴ってきた音だ」。
何百年前のおぼうさん、お参りに来た子ども、今の住職、そして私たち、みんなが聴いてきた音。
その音をいま録音して未来へ渡すことが、わたしたちの仕事です。

🎧 録音した音と、住職の声で作った音楽

お寺で録った鐘の響き読経(おきょう)の声を素材に、3分の音楽作品を作りました。
「録った音」が、そのまま「音楽」になります。

お寺で住職といっしょに
tokoji_demo · はじまりの2分 鐘・読経・電子音の対話 ― 作品の冒頭

🕐 教室で2分の冒頭 / 続き(全27分)はおうちで宇津木さんに聞いてね

動画で見る

🎬活動のようす(うごく映像で)

▶を押すと、このページの中で再生されます(別の画面には飛びません)。

音と光の建築 @ 東光寺お寺で、集めた音と光の作品(インスタレーション digest)
つちうら SOUND PICNICみんなで、まちの音を聴くピクニック(2025.10.12)
竹でライトをつくろう!竹を切る音「パキッ」も、まちの音(2025.12.13)
自然の材料でストールを染めよう!葉を煮る「ぐつぐつ」、洗う音とともに(2025.12.06)
サイトも見てね 🌐

🗺️ 音アーカイブ(地図 + 音)
tsuchiura-sound-achib.netlify.app/map/

🌐 TSAP プロジェクトサイト
tsuchiura-sound-achib.netlify.app

土浦の音アーカイブQRコード
活動と様子 ― いちばん最後に

💬参加してくれた人の声

SOUND PICNIC、竹のライトづくり、染色体験、東光寺のイベントに参加してくださったみなさんから、こんな感想をいただきました。

子どもたち(2名)の声
富島家としての感想

竹のライトづくり、ストールの染色体験を通して、地元の人との新しいつながりをいただき、大変有意義な時間となりました。
息子も竹のライトを非常に気に入っております。

教員の立場から

体験活動が減っている昨今。自然に混じり、普段意識しないことに気づけるこの活動は大変意味深いと感じました。
五感をフル稼働させ、のめり込んだ音が、音楽として構成されていく体験もまた初めてでした。コンサートでは、自分の活動の記憶を音で呼び覚まされながら、不思議な没入感を感じました。
子どもにとっても大人にとっても、日常と非日常が入り混じるこの体験は、唯一無二の体験であると思います。

⭐ いちばん大事な話 ― 世界の仲間たち 🕐 教室で 5分

🌏「まちの音をあつめる」って、世界中の人がやっています。

サウンドスケープ(Soundscape)― これは「まちや自然の、聴こえてくる景色のぜんぶ」を意味する言葉です。
絵で描く風景(landscape)があるように、耳で聴く音の風景(soundscape)がある、という考え方。

この言葉ができたのは、1969年・カナダ。
カナダの作曲家 R. マリー・シェーファー という人が、サイモン・フレーザー大学で「世界の音風景プロジェクト(World Soundscape Project)」を立ち上げました。仲間の研究者と一緒に、世界中のまちの音を録音し、聴くこと自体を芸術・学問にしました。
今、サウンドスケープは 2014年に国際規格(ISO) として正式に定義され、世界中の都市・学校・美術館で研究されています。

🎙️ 世界の代表的なアーティスト

どの人も、わたしたちと同じく「消えていく音を録って残す」「聴くことで世界を見直す」ことを仕事にしてきた人たちです。
▶ボタンを押すと、本物の活動・作品が聴けます。
🕐 教室で各動画30秒〜1分だけさわり聴き / 🏠 おうちで全部じっくり

S
R. マリー・シェーファー 🇨🇦 カナダ · 1933-2021 · 作曲家

「サウンドスケープ」という言葉を世界に広めた人。世界の自然・都市の音を録音して残すプロジェクトのはじまりを作った。本『The Soundscape』(1977) で「音は風景である」と説いた。
代表作『Music for Wilderness Lake』(1979) は、湖の上に12人のトロンボーン奏者を浮かべて、夜明けに演奏する作品 ― 自然と音楽が出会う、有名な野外コンサート。

K
バーニー・クラウス 🇺🇸 アメリカ · 1938- · 音響生態学者

45年以上、世界中のジャングル・草原・海で「自然の音」を録音し続けてきた人。5,000時間以上の録音・15,000種以上の生き物のデータベースを作った。動物の声・風・水音が時間とともに変わっていく様子をしらべ、「自然の音がきえる=環境がこわれている合図」と気づかせた。
▶ TED で 1,400万人以上が見た有名な講演:

W
クリス・ワトソン 🇬🇧 イギリス · 1952- · 録音家

BBCのネイチャー番組(デイビッド・アッテンボロー『フローズン・プラネット』『グリーン・プラネット』)の音を担当する、世界一の野外録音家。「マイクは耳のかわり」と言い、音だけで場所を伝える作品をたくさん作っている。
代表作『Vatnajökull』は、アイスランドの巨大な氷河を録音した曲 ― 氷がパキッと割れる音、風、海鳥の声。耳だけで、はるか遠い場所に行けます。

H
ヒルデガード・ヴェスターカンプ 🇨🇦 カナダ · 1946- · 作曲家

シェーファーの仲間として活動。「サウンド・ウォーク(耳をすませてまちを歩く)」を世界に広めた人。
代表作『Kits Beach Soundwalk』(1989) は、カナダの海辺を歩きながら録った9分の作品。波の音、フジツボの食べる音、遠くの工事音…耳をすますと、世界が広くなる体験ができます。

🗺️ 同じことをやっている世界のプロジェクト

わたしたちと同じく「まちの音を、みんなで集める」プロジェクトが、世界中にあります。

🇯🇵
日本の音風景100選 — 環境省(1996)

日本政府が「未来に残したい日本の音」を全国から募集。47都道府県から738件の応募があり、専門委員会が100個を選びました。
たとえば 北海道の流氷の音 / 京都・東寺の鐘 / 沖縄の三線 など。30年前に、もう国が「音は残すべき文化だ」と言っていたのです。

🌐 環境省の公式ページ
🌐
Cities and Memory — 世界共同サウンドマップ(2015年-)

110か国・5,000以上の音・2,500人以上のアーティストが参加する、地球まるごとのサウンドマップ。2025年で10周年
イギリスの大英図書館がすべての録音を「永久アーカイブ」として保存しています。
世界の地図を開いて、好きな場所をクリックすれば、その町の音が聴けます。

🗺️ 世界の音マップを聴く ▶ YouTube
🌳
WFAE — 世界音響生態学会(1993年-)

世界中の研究者・アーティスト・教育者がつながって「音を通じて環境を考える」ことを話しあっている学会。日本・カナダ・アメリカ・イギリス・ヨーロッパに支部がある。
わたしたち(つちうら)も、矢向のみなさんも、この仲間です。

⭐ まとめ ⭐

「まちの音をあつめる」のは、カナダ・アメリカ・イギリス・日本……世界中で、もう60年続いてきた、立派な仕事です。
日本では環境省も30年前から取り組んでいます。

矢向小学校6年生のみなさんが取り組んでいることは、世界の研究者・アーティストがやってきたことと、まったく同じことです
つまり ― もう、世界中に仲間がいるということ。

いちばん伝えたいこと 🕐 教室で 2分

🤝じつは、みなさんと同じことをしています。

わたしたち
土浦のまちの音
みなさん
横浜・矢向のまちの音

離れた二つのまちで、同じ「まちの音」を、同じ「好き」という気持ちから、
同じようにまちに出て集めている。

世界中のアーティストや研究者も、これを「サウンドスケープ」と呼んで真剣にやっています。
だからみなさんは、授業をやらされているのではなく――もうわたしたちの仲間。本物の探究者です。

最初は「なんで?」と思った人もいるかもしれない。でも続けてきたことがすごい
みなさんはもう、その道を歩いてきました。

いっしょにやってみよう 🕐 教室で 8分

👂耳をすますと、世界が変わって聴こえる。

  1. 15秒、耳すまし実験。 声を出さず、心の中で「いま、この教室で聞こえる音」をいくつ見つけられる?(蛍光灯のジー、外の車、だれかの椅子、自分の心ぞう…)
    さっきまで「しずか」だと思っていた場所に、こんなに音があった。
  2. 音は「遠い・近い」で感じる。 目を閉じて、後ろを歩く足音が「右から?左から?近い?遠い?」を耳だけで当ててみよう。
  3. あなたの「これがなくなったら寂しい音」は? となりの人と30秒、話してみよう。(家の玄関の音/通学路のふみきり/給食の配ぜん/部活/家族の声…)

🎵 土浦の音で、リズムを作ろう!

パッドをタップすると音が鳴ります。下のマスを光らせて、自分のリズムを作ってみよう!

はやさ100

⏱️ 15秒・耳すましチャレンジ

スタートを押して、聞こえた音を一つずつタップで足してみよう!

15

見つけた音: 0

🎯 帰り道・お家で「音さがしビンゴ」

9マスのうち、見つけた音をタップ。3つ並べたら「ビンゴ!」 全部見つけたら最強の探究者だよ。

げんかんの
「ただいま」の音
給食を
くばる音
通学路の
ふみきり
雨だれ/
水たまり
自分の
足音
家ぞくの
笑い声
エレベーター
のチャイム
夕方の
カラスの声
本を閉じる
「ぱたん」

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🎁今日の持ち帰りミッション

帰り道で一回だけ立ち止まって、「なくなったら寂しい音」を1つだけ決めてくる。
録音できなくていい。覚えておいて、明日クラスで言うかメモする。

それで、みなさんはもうサウンドアーカイブの仲間です。
みなさんの横浜・矢向の音も、わたしたちの土浦の音と同じように、未来へのおくりものになります。